これからCADを習得する人は必見!2大CADソフトの特徴を比較
CAD(Computer-Aided Design:コンピュータ支援設計)業務でトップのシェアを誇るAutoCADと次点のJw_cad。
今回は、これからCADを学ぼうとする人に向けて、2大有名ソフトのAutoCADとJw_cadを、さまざまな面から比較してご紹介します。
AutoCAD(オートキャド)
AutoCADは、Autodesk社が販売する世界的にもシェアが高い高機能なCADソフトウェアです。
1982年の登場以来、建築業界や機械設計の分野を中心に汎用CADソフトウェアとして、高い人気と圧倒的なシェアを誇る業界デファクトスタンダードなソフトです。
利用料金(金銭コスト)
・コース名:AutoCAD LT (月額7,560円)※2019年1月25日時点
・1か月・1年間・2年間・3年間の契約プランから選択が可能
Jw_cadと同様の、2DCAD機能を中心としたAutoCAD LT。
かつては買い切りタイプのパッケージ版として販売されており、手が出ないような高額なソフトウェアでした。
しかし現在では、月単位や年単位での契約による利用となっており、使用する時間だけ契約するといった資金効率の良い利用方法をとることができるようになりました。
学生ならではの3年間無償の教育期間限定ライセンスが利用できるようになったほか、一般ユーザーでも30日間の無料お試し期間があるため、気軽に始めてみることができます。
学習コスト(時間コスト)
・公式ラーニングサイトあり
・各種スクールも充実
・数多くの教則本が存在
・総じて学習のしやすさはJw_cadよりも優れる
世界的にも業界標準のソフトウェアとして長らく愛されてきたAutoCAD。
そのため、ソフトの扱いをマスターするための各種スクールや教則本が充実しているほか、動画共有サービスにもチュートリアル動画が掲載されており、公式サイトのラーニングサイトも完備されています。
学習のハードルとしては、Jw_cadよりもはるかに優れているといえるでしょう。
対応OS
・Windows/MacOS両方に対応
AutoCADは、WindowsOSを搭載したパソコンでも、MacOSを搭載したパソコンでも、それぞれのOSに応じたアプリケーションが用意されています。
Windowsでしか利用できないJw_cadと比較すると、デザイン業界でシェアの多いMacユーザーでも使える点において利便性で勝っています。
トラブル時のサポート(業務リスク)
・サポートあり
AutoCAD LTでは、公式のオンラインヘルプやチュートリアルが充実しているほか、電話サポート、オンラインチャット、メールでの問い合わせ、トラブル時のリモートサポートが提供されています。
操作方法がわからないときや、万が一のときでも安心です。
業界シェア層の特徴
・主に大企業での利用割合が多い
万が一の際のリスクやサポート体制の有無、長期的に製品を使い続けられる長期有用性を考慮して、特に大企業ではAutoCADを選択する傾向にあります。
Autodesk社はCADソフト以外でも、3DCG業界における業界標準のソフトウェアを開発・提供しているリーダー的企業でもあります。
そのため、学んだ知識を末永く使えるという点では、AutoCADに分があるでしょう。
Autodesk(AutoCAD)公式サイト
https://www.autodesk.co.jp/products/autocad/overview
Jw_cad(ジェイダブリューキャド)
Jw_cadは1997年に発表された2DCADソフトウェアです。
「タナカ ヨシフミ」さんと「シミズ ジロウ」さんが開発しており、無料で使えるCADソフトとして人気があります。
利用料金(金銭コスト)
・0円(無料)
Jw_cadの大きな魅力として、無料で使えるフリーソフトである点があげられます。
コスト意識の強い中小企業では、メインの2DCADとしてJw_cadが採用される傾向にあります。
学習コスト(時間コスト)
・AutoCADと比較して教則本は少ない
・AutoCADと資格して取り扱うスクールも数少ない
・公式サイトにラーニングページはない(「情報交換室」での相談は可能)
基本的には、Jw_cadの習得方法は教則本や個人が運営しているような教則サイトや動画共有サイトなどを使った独学となります。
行き詰った際の学習継続性には、高いハードルがあると言わざるを得ないでしょう。
ただし、職業訓練校やスクールなどで対面で学ぶ機会もありますし、AutoCADと比較して操作自体の難易度が低いため、きちんと勉強すれば十分独学で習得できます。
対応OS
・Windowsのみ
Jw_cadは、主にWindowsOS(Vista、7、8、10)を搭載したパソコンでのみ利用することができます。
DOS版の開発は停止しています。
トラブル時のサポート(業務リスク)
・基本的にはサポートレス
Jw_cadは無料で使えるフリーソフトですので、基本的にはサポートレスで動作保証はありません。
ただ、公式サイトでは初心者からの相談を受け付ける「Jw_cad相談室」や一般向けの「Jw_cad情報交換室」が設けられており、疑問点などを質問することはできます。
業界シェア層の特徴
・中小企業で高いシェアを誇る
現場での商務に耐えうる高機能を持ち、しかも無料で利用できることから、コスト意識が高い中小企業で高い採用実績を誇っています。
今後、長期にわたってソフトウェアが提供され続けるかどうかについては不安は残りますが、必要になる機能は限られているため、今すぐ危機的な状況に陥ることは考えにくいでしょう。
Jw_cadの特徴的な機能
・作図方法の違い
・クロックメニュー機能
・2.5次元機能
・包絡機能
・無料で使えるカスタマイズプログラムでの拡張性
Jw_cadでは、ほかのCADソフトでも一般的な「縮尺を設定してから作図する」ことになります。
AutoCADの場合、「自由に作画してから印刷時に縮尺を考える」こととなります。
そのほか、Jw_cadでは簡単なマウス操作で業務を遂行できるクロックメニュー機能が搭載されており、擬似的に3Dであるかのような作図(アイソメ図)を行える2.5次元機能も特徴的です。
包絡処理についてもまとめて一括処理できるなど、より簡単に実現できるのはJw_cadのほうでしょう。
そのほか、無料ソフトであるがゆえに多くのカスタマイズプログラム(外部変形プログラム)がインターネット上に出回っています。
標準機能にはない機能を無料で次々と拡張していくことができるのも、Jw_cadの優位性です。
Jw_cad公式サイト
http://www.jwcad.net/
まとめ
今回は、CAD業界でトップシェアを誇る超有名2大ソフトウェアについて比較してきました。
CAD業界で働く場合、どちらか一方というよりは、両方のソフトを使いこなせたほうが活躍の場が広がります。
どちらのソフトウェアを使用するべきか迷った場合には、あこがれる企業がどちらのソフトウェアを使用しているかなど、ゴールから逆算してソフト選びや学習計画の立案を行うと良いでしょう。
はじめはAutodesk体験版とJw_cadを両方少しずつ触ってみて、習得できそうかなどの適性を自身で見極めながら、どちらかに絞って学んで行くという方法もあります。
この比較記事が、あなたのスキルアップに役立つことを祈っています。
ライター名 :「しがないアプリケーションオタク」
プロフィール:パソコンやタブレット、スマートフォンなどの操作案内や基本的なアプリケーションの使い方相談を受け付ける仕事を経験。フリーソフトを中心に各種アプリケーションに興味関心が深い在宅ワーカー。